電験
概要 †
- \( \left\{\begin{array}{ll}{\nabla \cdot \boldsymbol{B}(t, \boldsymbol{x})} & {=0} \\ {\nabla \times \boldsymbol{E}(t, \boldsymbol{x})+\frac{\partial \boldsymbol{B}(t, \boldsymbol{x})}{\partial t}} & {=0} \\ {\nabla \cdot \boldsymbol{D}(t, \boldsymbol{x})} & {=\rho(t, \boldsymbol{x})} \\ {\nabla \times \boldsymbol{H}(t, \boldsymbol{x})-\frac{\partial \boldsymbol{D}(t, \boldsymbol{x})}{\partial t}} & {=\boldsymbol{j}(t, \boldsymbol{x})}\end{array}\right. \)
目次 †
資料 †
初等電磁気学 †
物理量 †
- 電荷 [C]
- 陽子が + , 電子が - の電荷を帯びている。電子一つあたりの電荷\( e \)が決まっている。
- 変数は \( Q \) を用いることが多い
- 電流 [A]
- ある断面に \( Q \) の電荷が通過したとすると、その断面に流れる電流 \( I \) は \( I \overset{\text{def}}{=} \dot{Q} \) [A]
- 電子は - の電荷なのでが移動する方向とは逆に電流が流れる。
- 断面積\( S \)の電線の電流を考えると、電子の速度\( {\bf v} \), 電子密度\( n \) [/m^3]の場合、\( I=enS{\bf v} \)
- 電界 [V/m] = [N/C]
- \( F \overset{\text{def}}{=} q E \)
- 電界に電荷を置くと電界の方向に力がかかる。
- 電荷を置くとガウスの法則により電界が発生する。
- 電気力線はクソ概念。電気力線は要するに電界だし、電気力線の本数は要するに電界の面での積分。
- 注意: 電界と電束は異なる!電束で詳説
- 電位 [V]
- 電束密度 D [C/m^2]
- 等方性を前提すると、\( D \overset{\text{def}}{=} \epsilon E \) [C/m^2]
- なぜ電界のような同じ概念を導入しなければならなかったのか???
- 誘電体は分極するから誘電体。誘電体でもガウスの法則が成り立つように無理やり導入された量
- ガウスの法則の積分で、中に入っている電荷 q があったとしても、実際には面の中に入っている物質が分極して逆の電荷を帯びるので、閉曲面から出る**電界**の積分は必ずしも q に一致しない。
- しかし実験家の立場からすれば,意図的に用意したのはプラスの電荷だけであって,それによる分極でどのくらいの電荷が顔を出したのかについて知るのは困難である.分極によって生じた電荷を気にせずにガウスの法則を使うことができるような物理量があると便利である
- なので、電界に何かよくわからない量を書けて、辻褄を合わせようという魂胆で導入された概念。
- 電束 [C]
- ガウスの法則の積分で、取った面\( S \)のある一部の面\( S_{partial} \)に着目したときの \( \int_{S_{partial}} \epsilon {\bf E \cdot n} \) のこと。\( \epsilon \) がかけられているので内部での誘電が補正されて単位が [C] になっている。
- 静電容量 [C/V]
- \( C \overset{\text{def}}{=} Q / V \)
キルヒホッフの法則 †
- キルヒホッフの法則: 任意の有向閉ループに対して電位差を積分すると 0 V
- 基本的には電流の微分方程式として立式することになる。
- 要素
- 抵抗: \( R i \)
- コンデンサ: \( q / C (q = \int i di) \) (C: 電気容量)
- なぜコンデンサに電流が流れるか?コンデンサの極板 A がプラスに帯電する = 極板 A から導線へ負の電荷の電子が逃げている = 電子と移動方向と逆方向に電流が流れます。わかりにくくなっているのはコンデンサの極板間で電子が飛んでいるわけではなくて、コンデンサではない部分で電子がやりとりされているから
- コイル: \( L \dot{i} \) (L: インダクタンス)
- モデリング
- 電線ごとに電流が一定なので、電流に対して時系列電流 i を定義する。
- 回路の方程式は独立な閉回路の数だけ立式すればよい。あとは微分方程式が解くだけ。
- 交流の場合には、電圧が\( V \sin(\omega t) \)だと思って微分方程式を解けばよい。
ガウスの法則 †
- \( \int_S {\bf E} \cdot {\bf n} dS = Q / \epsilon \) 任意の曲面 S について。\( {\bf n} \) は曲面を外側に出る垂直単位ベクトル
- どんな閉じた曲面であってもそれを垂直に貫く電界強度の合計は \( Q / \epsilon \) に等しい
- 電気力線は\( {\bf E} \cdot {\bf n} \), 電束は\( \epsilon {\bf E} \cdot {\bf n} \)ってこと
- 例 https://physnotes.jp/em/gauss-law/
- 点電荷: \( E = \frac{1}{4 \pi \epsilon} \frac{Q}{r^2} \) (証明略: S を半径 r の球とするといい)
- 面電荷: \( E = \frac{\rho}{2\epsilon} \) ただし \( \rho \) は面電荷密度 (証明略: S を平板の一部を貫く平板と平行な直方体を考えるといい)
- 通常コンデンサの観点では二枚面電荷があるので、その場合は\( E = \frac{\rho}{\epsilon} \) ただし \( \rho \)は面電荷密度となる
- クーロンの法則は、ガウスの法則→点電荷の電位計算→クーロンの法則で導出されるので覚えなくていい
磁場 †
- 磁場 [N/Wb]
- \( m \) [Wb] の磁極が磁場 \( {\bf H} \) から受ける力は \( {\bf F} \overset{\text{def}}{=} m {\bf H} \)
- 磁束密度 \( \bf B \) [T = Wb/m^2]
- \( {\bf B} \overset{\text{def}}{=} \mu {\bf H} \), ただし \( \mu \) は透磁率
- 磁束 \( \Phi \) [Wb]
- \( \Phi = \int_S {\bf B} \cdot {\bf n} dS \)
- ファラデーの電磁誘導の法則
- \( V = \oint_{L} {\bf E} \cdot d{\bf l} = - \dot{\Phi_{S}} \) ただし L は任意の閉ループ、S は L で囲まれた任意の曲面
- \( {\bf E} \) の時間積分は定義上電圧
- アンペールの法則
- \( \oint_{\partial S} B d {\bf l} = \int_S j d{\bf S} \)
- 面の境界∂Sにおいて、磁界(磁場)の接線Hを足し合わせる(積分する)と、足し合わせた結果は、面Sを貫く電流jの和に比例する
- 紙面上から見た反時計回りのループ\( \partial S \)に対して、紙面下から上に貫く電流数を集める
- 直感的には右手親指を立てて、右手親指以外で半円を造ったとき、右手手首を曲げる方向が線積分の方向で、親指の方向が面積分正の方向
- ローレンツ力
- \( {\bf F} = q {\bf v} \times {\bf B} \)
- この式で、磁場により受ける電荷の力と、電流の力を両方説明している。
- 電流は電荷の移動なので、実質 \( {\bf v} \) に相当しているため
- フレミング左手の法則はいらない。上記だけでなんとかなる
- もし必要だとしても、磁場から電流が受ける力の向きの計算のためにフレミングの法則は遅いので、右手親指を立てて右手親指以外で半円を造り、「電磁力」と唱えながら電気→磁力と半円を回転させたときの親指の方向が力
具体的な問題 †
直流回路 †
テブナンの定理 †
- 抵抗がいっぱいあって真面目に解くのが困難な時に使う。
- 「回路上の任意の2端子とそれにより定義される片側を考える。すると、開放電圧・解法インピーダンスがその片側に繋がっているものとみなしても問題ない。」
- ブリッジ回路の中央電流の計算で超役立つ。
要素 †
- コンデンサ
- 直列に繋ぐと (C1^-1+C2^-1)^-1 の容量になる
- \( W = \frac{1}{2} C V^2 \)
交流回路 †
インピーダンス †
- 遅れとか進みとか言っているから意味がわからなくなる。インピーダンス三角形とかいらない。全体として複素数がわからないような人のために教科書を作るから訳がわからなくなっている。難しく考えない。
- 直流だと電位だけで良かったが、交流では電位と位相の 2 つがあるので複素数で表そうというのが本質的な導入理由
- 複素数の信号\( X \)(大文字で表す)は、時間空間での信号(小文字で表す) \( x = |X| \sin (\omega (t + \arg(X))) \) を表す。
- 複素数の信号は \( \omega \) に隠れて依存していることに注意。複数の信号に関する数式は、周波数領域全体について語っている。
- 抵抗・コイル・キャパシタを全部抵抗チックなインピーダンスとして扱える
- 抵抗 \( R \), コイル \( j \omega L \), キャパシタ \( \frac{1}{j \omega C} \)
- 交流\( V \)にコイル\( L \)がついている。電流は?
- \( Z=j\omega L \), \( V=ZI \), \( I=-jV/\omega L \) → \( i = |I| \sin (t + \arg(|I|)) = V/\omega L \sin (\omega(t - \pi / 2)) \)。結果として「遅れ」になっている。
- 共振とかも普通に数式を解くだけ。
- 直列RLC回路は\( V=(j \omega L + 1 / (j \omega C) + R) I \Leftrightarrow I = V / (j (\omega L - 1/ (\omega C)) + R) \)なので、\( I \) を最大化する \( \omega \)は \( \omega L - 1 / (\omega C) = 0 \) の時。
- 並列RLC回路は\( V=( (j \omega L) ^ {-1} + (1 / (j \omega C))^{-1} + R^{-1})^{-1} I \Leftrightarrow I = (j (\omega C - 1 / (\omega L)) + 1/R) V \) なので、\( I \) を最小化する \( \omega \)は \( \omega C - 1 / (\omega L) = 0 \) の時。
電力 †
- ある線にかかる複素数の電圧\( V \), 複素数の電流\( I \)があった時、複素数の電力は\( VI \)(←皮相電力)
- Re(VI) が有効電力で実際に消費される。Im(VI) は実際には消費されない無効電力
- 交流電力計では、Re(VI) のみを計測するように、\( V, I \) の振幅と位相差をきちんと測っている。なので、交流電力系は直列にも並列にも繋がなければいけない。
- 電力=有効電力+無効電力 \( j \) (のように、これも複素数で表す!こっちは位相差とかいう話ではないので、インピーダンスとは無関係であることに注意!)
- 要するに、電力消費も三角関数でブレており、有効電力は行きも返りも電力消費するから実際に電力消費するが、無効電力の方は電力を貯めて吸ったり吐いたりしているだけなので電力消費しない。
- 力率 = arg(電力)
発振回路 †
- Re(AH=1) みたいなの、マジで納得できないので古典制御論を介して勉強しましょう…………………
半導体 †
概要 †
- 真性半導体
- Ge, Si などでできた半導体。正孔濃度と電子濃度が同じくらいある
- 4 価だからといって全くキャリアがないわけではない。正孔濃度と電子濃度は量子力学的なバンドによって出たり入ったりしているので、熱や光を与えるとキャリア濃度が上がる。
- n型半導体
- 電子が多い半導体。P, As など 5 価をドープ(混ぜる)
- 真性半導体より電気が流れやすい
- p型半導体
- 電子が少ない半導体。B, Ga など 3 価をドープ(混ぜる)
- 真性半導体より電気が流れやすい
- キャリア
- 正孔もしくは電子のこと。なので正のキャリアと負のキャリアがある
- キャリア濃度とはキャリアが物質にどれくらい混ざっているかを表す。
- ドリフト電流
- 電圧を書けて電界が発生すると、正孔や電子が動くよ。オームの法則に従う。要するにただの電流
- 拡散電流
- 半導体中の電荷キャリア(ホールや電子)の拡散による電流のこと。ドリフト電流とは異なる。
- 拡散電流は電気的な刺激には依存せず、電荷キャリアのランダムなブラウン運動に起因する(熱勾配や密度勾配を経由して現れる)。
- キャリア濃度に比例して電気が流れやすくなる(抵抗率が下がる)
増幅器 †
トランジスタ †
FET †
- S, G, D の三端子がある。
- 「\( v_{gs} \)に比例した\( S \)から\( D \)への電流源が発生する」とモデル化できる(\( v_{gs} \)はソースからゲインへの電圧)
オペアンプ †
|