知能の原理メモ

Groningen大学のCharlotte Hemelrijkはケンカの優劣によって上下関係が定められるサルの社会において、階層的構造が自己組織化されることを示した。
人工生命に基づいた研究は局所的な相互作用による自己組織化と複雑系ダイナミクスに焦点が当てられる。

構成論的な方法論に置いては、実験や理論が妥当であるかどうかを判定するための基準を作ることから考えなければならない。

カール・ポパー「科学と擬似科学は反証可能性によって判定できる」←ポール・ファイヤアーベント「制限つけすぎて進歩しない。何でもありだと思う」
人工知能は万人に受け入れられる方法論を期待できない。工学的な目標も大きいので、構成論的な面を考慮する必要がある。

この辺の論理のつながりが見えない。
ハードなルール=物理法則
ソフトなルール=言語や芸術
多様性と柔軟性が相補的関係にある。
拘束の活用、拘束を活用していると知っていること。

参照フレーム
「何を観察し、観察したものをどのように解釈するかについて注意しなければならない」
マクファーランド「擬人化とは人間の不治の病である」
(1) 人間が見た行動とエージェントの主観的な行動は必ずしも一致しない。
(2) 制御メカニズムと振る舞いは必ずしも一致しない。
(3) 複雑な振る舞いが単純なメカニズムで実現される可能性がある。
チューリッヒ大学のMarinus Maras and Le te Boakhorstによる「スイスロボット」。二つの光電センサの刺激があれば、それから逃げるようなロボットである。「このロボットは掃除しているが、自分が何をしているかはわかっていない」
上と同じ研究室の飯田史也はモータとバネによって接続された犬型ロボット「パピー」を開発した。これは蹠の圧力センサによってモータを周期運動させる非常に単純な制御で走行を自然に実現する。適当な周期運動が適当な形態を持った物理システム=身体と環境に埋め込まれた時、走行運動につながる。
ヴァレンティノ・ブライテンベルグの”Vehicle”(1984)に様々な単純な機構で複雑な振る舞いを示す移動ロボットが記述されている。光源に向かっていくロボットなど。

3つの時間スケール
(1) いまここで
(2) 学習・発達
(3) 進化
スナップショットモデルが学習メカニズムから創発される研究(Hafner and Moller, 2001)←身体の形態は変化せず、制御アーキテクチャのみ変化
目の形態を進化させる研究(Lichtensteiger and Salomon, 2000)←身体の形態も変化

創発
(1) 群行動から生み出される大域的現象(アリの行列)
(2) エージェントと環境との相互作用の結果生み出される個体の振る舞い(センソリモータ・環境の相互作用)
(3) 時間スケールを買えることで生み出される振る舞い(3つの時間スケール間をつなぐ)

創発のための設計 (Steels, 1991)
あるメカニズムから振る舞いが創発されたとき、それを説明するのは比較的簡単であるが、逆を求めるのは極めて難しい。
これを創発のための設計という。体系的な解決法はまだ存在しない。

実世界と仮想世界
(1) 情報取得に時間がかかる←身体性
(2) 世界について得られる情報は限られる←身体性
(3) 外乱・故障
(4) 実世界は連続的
(5) エージェントは複数のことを行う←反射など
(6) 実世界は勝手に変化する

完全エージェントの特性
(1) 物理法則にしたがう
(2) 感覚刺激を作り出す
(3) 環境に影響を及ぼす
(4) アトラクタ状態を持つ複雑なダイナミカルシステムを構成する

知能エージェントの設計原理1: 三構成要素の原理
(1) 生態学的ニッチの定義
(2) 振る舞いとタスクの定義
(3) エージェントの設計
一般には(3)が欠けており、これを設計するが、他のものが欠けている場合も考えられる。
より優秀な設計者は(1)と(3)を同時に設計する。GPSなど。
環境整備はエージェントの設計に本質的に重要である。←(1)

知能エージェントの設計原理2: 完全エージェントの原理
エージェントを設計する時は、実世界で振る舞う完全エージェントを考えなければならない。
(なぜこういう題名がついているのかわからない)
分割統治は問題を複雑化する。画像認識は動くことを前提すれば問題を単純化できる部分もあったはず。
生物は分割統治しないことが多い。方位特異性ニューロンは他の役割も果たし、それに特化すると考えるのは誤り。
スナップショットモデルも、認識は帰巣の一部に組み込まれている。(Lambrinos et al., 2000)